隣人7 魔女討伐後、間もなくサイファー・雷神・風神の3人はガルバディア軍に捕らえられ国際連盟最高裁判にかけられ、ドール・ガルバディア・エスタの3国連盟で死刑判決を言渡された。 今にして思えばリノアがスコールから離れたのは、彼らの死刑が確定した直後だった。 スコールの元を去り、市長になって5か月。 未だにリノアは3国のどこからも死刑判決を覆せないでいる。 それどころか交渉の席にすらついてもらえずにいる。 笑える。 死刑執行は3カ国の署名が揃った時点で刑務所長に具体的期日を委任され、執行日は本人にも当日朝まで伝えらえない。 今既に死刑確定から1年経っている。 書類もそろそろ3か国を廻り終わって、もういつ執行されてもおかしくない。 キスティスはスコールを見ながら大きなため息をついた。 スコールは何の為にこれほどまでに傷つけられたのか。 「…溜息吐くなら違う方向見て吐いてくれ」 「………うるさい。悩み事なんか山ほどあるの。デジョネーターだけじゃないのよ!ガーデンのことも、生徒達のことも、プライベートなことも!」 「大変だな」 人の気も知らずに片眉だけを上げていかにも他人事のように答えるスコールにキレたキスティスは、前方に見えたトライフェスに突進していきながら 「デジョネ―ター!!!!」 力いっぱい吹き飛ばしたが、やはりアイテムは残らず経験値も入らない。 生きている、今のトライフェスもどこかへ吹き飛んだだけだ。どこかで生きている。 キスティスはガックリと肩を落とした。 しかしそのトライフェスが吹き飛ばされていく様を最後まで観察していたスコールは、何かに気が付いたように咄嗟に「伏せろ!!!!」とキスティスを勢い良く自分共々横倒しに倒した。 同時に物凄い風圧と魔力が一気にガウンッと2人の立っていた場所を通り過ぎた。 スコールとキスティスはその風圧だけで何度も回転しながら遠くへ吹き飛ばされ、体力ゲージがレッドゾーンに入っていたキスティスは戦闘不能になり、それに気がついたスコールは直ぐにアレイズをかけて復活をさせ、乗ってきたラグナロクの影に2人で隠れた。 風圧が通り抜けた方向を見ると、見たことも無い召還獣...だがバハムートに似てる、が違う。 バハムートに似たその召還獣が遥か遠くからユックリと自分達に向って飛んで来た。 もしその召喚獣がバハムートと同じ種族だったらラグナロクの影に隠れるのは意味が無い。 バハムートは視覚と体温と超音波で位置を測るし、攻撃すれば建物や金属など跡形も無く溶かしてしまう。 真っ直ぐこちらに飛んでくる様子からして、既にロックオンされている。 「久々の大物だ。本気でかからないとやられるぞ」 「分かってるわよ」 スコールとキスティスはラグナロクから離れ、戦闘態勢に入った。 が、 「.........え?」 これから始まる久々の本気バトルの空気にそぐわないキスティスの間の抜けた声にスコールが眉を顰めた。 「......あ...ご、ごめんなさい...でも......あ...ディアボロスが...え?......あぁ...!」 キスティスにジャンクションしていたディアボロスが突然、勝手にジャンクションから外れた。 「ディアボロス!?」 大物との戦闘が始まる直前の召喚獣のありえない行動に驚愕するスコールとキスティス。 『彼は私の知り合いだ』 脳に直接伝わるテレパシーをスコールに送ってきた。 そしてその姿を具現化させると... 「カオス!?」 どこかから叫び声がした、、、と、思った時、目の前にその新種のバハムートが舞い降り、その首の辺りからトンッ...と、一人の金髪の美青年が降り立ち、新種のバハムートはどこかへ姿を消した。 『クラウド、久しいな。召喚獣を乗り物にできるまでレベルを上げたのか』 具現化していたディアボロスが云うと、金髪の美青年は再び叫んだ。 「カオス!!」 『この世界での私の名は召喚獣ディアボロスだ』
スコールとキスティスは召喚獣に乗ってやってきたこの青年はどうやらディアボロスの知り合いで戦闘にはならないらしいと察しはしたが、で、カオスって何?と疑問符だらけになっていた。 逆にクラウドはヴィンセントが、いや、カオスが召喚獣??ディアボロス?と、同じく疑問符だらけになっていた。 |