迷い子10



皆の元に戻るとキロスが混ざっており、クラウドに気付くと全員が走ってきた。

「ふっ、普通に歩いたはるぅ

セルフィが涙をブワッと溢れさせ

「マジで!?もう、もぅ絶対無理だと思ったよぉ~僕もう、どうしようってぇ~。僕のせいだってもう~

うわぁ~んクラウドぉぉ~!!

アーヴァインまでも戦慄きジタバタしながら泣き始めた。

「良かったわ。キロスも復活したし。全員でここから抜けましょ

それとさっきキロスの携帯がエスタと繋がったそうなの

今はもう繋がらなくなっちゃったけど、その時にここの状況を報告したそうよ

アンブレラ社には本社、全支店、子会社を含めて強制捜査が入ったそうよ

エスタ政府内部でもあぶり出しが始ったって。それとお水、門の外に浴びるほど用意しておいてくれるって」


「恥ずかしながら戻って参りました

キロスがクラウドに照れ隠しで敬礼した。

「お互いさまだな。復活おめでとう」

クラウドも応えたが、その時キスティス達が立っているドアの奥から巨大な生物のジャラジャラとかザラザラとかガラガラガリガリというような摩擦音や振動が伝わってきた。

「いるんだな」

クラウドは扉を指して言った。

「そう。物凄く大きい

あの黒いプールの巨大ヒルくらいの大きさで緑色や紫色の蛇腹の鱗があってコイツも濃硫酸を吐き出すの

それで濃硫酸が床に落ちると穴が開くんだけど、部屋の下は大きな空洞になってて真っ暗だからどのくらいの深さなのか分からないけど、反響音からして相当深い

落ちたら死ぬと思う

でもモンスターが硫酸でどんどん穴を空けていくからどうやって退治したらいいか皆で考え中だったの

アーヴァインがショットガンやライフルで当ててみたけど、弾が弾かれて逆にこっちが被弾しそうになる

あ、ちなみに噴水の部屋のモンスターとは違うみたいよ。部屋から聞こえてくる音が違うから」

クラウドは少し考えた後、提案をした。

「一番簡単なのは壁越しのターゲット限定のブリザドだな

とりあえず動きを止めてしまえばなんとかなる。できるか

キスティスが呆れたように応えた。

「あのね、壁越しの魔法ができるのなんてあなたくらいよ」

「なにじゃあクラウド、私のブリザドあげよかブリザガもあるよ

「セルフィ、ベテランが無理って言ってるの!」

クラウドがまだこちらの世界の魔法を覚えていないのを知っているキスティスが反論を許さず遮ったため、セルフィは小さく「すみません......」と謝り、それ以上は口を出さなかった。


「クラウド、お前ならそんなもの無くともできるだろう。それとも手伝うか

セフィロスは部屋の中を指した。

「………誰も入って来るな、途中で声もかけるな、気が散る」

クラウドはジャラジャラガラガラと音のする部屋に入って行った。


部屋の中は噴水の部屋や他の部屋とは違ってガランとしていて、造りつけの棚や小さな部屋の割には大きな暖炉くらいしか目立ったものが無かったが、どうやら目の前で暴れている緑色と紫色の大蛇は、その大きな暖炉から出入りし、ジャラジャラガラガラという音は大蛇の体表の硬質化した蛇腹と床や暖炉壁、鉄柵が擦れ合う音だった。

突然大蛇がクラウドに向かって真っ赤な口を開けた、途端硫酸液を吐き出し、避けたが、元いた場所には大きな穴が開いた。

今のを含め部屋には既にか所穴が開いている。

部屋の下はどうやら穴を掘ったそのままの状態になっているようでゴオォ…という空気の流れる音と、硫酸臭に混じって土の臭いがしてくる。

似てる。噴水の部屋の大蛇と。

多分創ったのが同じ人物なのだろう。噴水の部屋の大蛇がバージョン1だとするとこれはバージョン2。

噴水の部屋よりも苦戦するだろうが勝てない相手じゃない。

クラウドは覚悟を決め、ザッシュソードを一振りし、大蛇に向かって行った。


部屋の外で待機していたメンバーは中から物凄い爆音格闘破壊音振動、声帯を持たない大蛇の空気を震わす威嚇音が響き始めたのをドキドキしながら待つ中、アーヴァインは皆から少し離れたところで座っていたセフィロスの所まで歩いて行き小声で声をかけた。


「……大丈夫ですか

「お前ごときに心配されるようなことは何もない」

「……そうですね、すみません…」

スゴスゴと戻ってきたアーヴァインだったが、遠目に見ていたキスティスもセルフィも気になっていた。

セフィロスは明らか貧血状態だ。血圧が下がり過ぎて微かに身体が震えている。

その震えを隠すように皆から離れている。

クラウドの血の道を作りながらも運んで行った先で何をしていたのか、今のセフィロスとクラウドを見れば聞かなくても分かる。

セフィロスは限界を超えてクラウドに輸血をした。

そういうのは輸血とは言わない。

セフィロスは自分の命を削ってクラウドに分け与えた。

何なんだろうこの人

輸血だってひと声かけてくれれば自分達の中にも同じ血液型がいるかもしれないのに、聞こうとすらしなかった。

そこまで無理をして復活させたクラウドを、直ぐにハードなバトルに送り込んでいる。

…でも無理もないのかもしれない。

クラウドが大けがをした原因はアーヴァインとセルフィ。そして今対峙している大蛇も、まず間違いなくクラウドでなければ戦えない。

きついのは分かってる、でもそうするしかないほど今自分達は追い込まれ、彼らとは実力の差がある…。


あの時……

部屋に引き摺り込まれたクラウドを追って中に入ってみれば……

『駄目だ』と思った。

クラウドに巻き付いた触手は鉄のような材質で鋭い刃が生えていて、クラウドは全身を深く無数に切り刻まれ木が真っ赤に染まるほど大量出血をして、枝を伝って既に床に血の池がどんどん広がっていて、触手の中で更に深く細切れにされかかっていて…あぁ駄目だと思った。


「オーディーン!!

その瞬間、それまでと緊迫感が段違いに変わった。

セフィロスさんの召喚に、見た事も無いオーディーンが斬鉄剣をバスーンッと振るい、鉄大樹が大きく揺れ、切り刻む動きは止まったが断ち斬れはしなかった。

ところが次の瞬間、突然スコールのオーディンが現れ間髪入れずに同じく斬鉄剣!がバキーンッと金属音を響かせ、鉄大樹に皹が入った。

予期せぬスコールのオーディーン登場にセフィロスさん自身も驚いたようだったけれど、そのまま瞬く間も無く渾身の居合い斬りを叩き込み鉄大樹がグラッ…と揺れた後、斜めにズレ、枝や蔦から一気に力が失われダラリ…と垂れ下がり、巻き付き捕らえていたクラウドを落としたが、それをセフィロスさんが下で受け取った。

根元から断たれた鉄大樹がダアァーーーン!!と倒れた、その地面も浮き上がるほどの重量のある倒木に皆が条件反射で一瞬目を閉じ、再び目を開けた時にはセフィロスさんがクラウドを抱いて走り去るところだった。

「お前達、この部屋を探索しておけ

指令と共にその姿は消えていて、走り去った道にはクラウドの流す血の標ができていた。


……あの時、クラウドを追って部屋に入り、2人の姿が消え血の標だけが残された……………そこだけ、空間が違っていた。

2人のその空間だけが切り離されたように、気迫、混じりけの無い本気……セフィロスさんの、全てを削ぎ落した後に残る、最後の真実だと思った。

冗談めかしてクラウドだけが特別だと言うセフィロスさん。

冗談などではなく本当にセフィロスさんにはクラウドだけなのだ。


最初にセフィが小さく嗚咽をあげ始めた。

「わた・私ら、足しか引っ張ってへん」

グッと音がするほど嗚咽を飲み込み、涙を袖でグイッと拭い

「けどっ、っ、へ、ヘタレでも頑張るでっク・クラウド、きっとセフィロスさんが、助けてくれるっ

戻ってきた時にす・進んでへんと、ドヘタレて言われるっ

「そうね、これ以上私達の評価下げたくないもの、やりましょう

キスティも泣いていた。


鉄大樹の部屋の捜査を始めて改めて気がついた。

斬られた木は本当に芯まで鉄の様なものでできていて、ナルホド、これはライフル弾を撥ね返すし、並みの鋼では傷さえつけられない。

斬鉄剣か…あの人瞬時にそういう判断ができるんだな…スゴイ、しかも本当に剣で鉄の塊を斬った。

怖い……マジで絶対に敵には回したくない人だ、味方に居ても怖いけど、とは思った。

部屋の奥を探っていたキスティスは新たに隠し部屋があるのに気づき、セルフィは鉄大樹の根元にクラウドの血に浸かった何に使うのか分からないが人物の横顔が図柄の大きなメダルを見つけた。


緑と紫の蛇腹の大蛇の部屋から聞こえていた格闘・破壊音が静まり、クラウドがフラフラになりながら出てきた。


「…少し休憩するから探索はよろしく」

入れ違いに他のメンバーが部屋に入れば、緑と紫の蛇腹大蛇が首を落とされて体だけ部屋にあった。

頭は大蛇が吐いた硫酸で開いた穴から下に落されていた。

床の半分以上が硫酸で浸蝕されていて、気を付けて動かないと下に真っ逆さまだ。

本当に、どんな治療をしたらあの切刻まれた状態からイキナリこんな事ができるまで回復させられるのか。

まるで新品の身体を手に入れたようにどこにも傷の痕跡が無い。

確かにセフィロスさんが助けてくれることを皆で信じた。信じる以外に何もできなかったから。

でもあれだけ切刻まれた人間がものの30分弱で何も無かったように復活できるか?できるわけがない。傷口はどこへ消えた?

ケアルもケアルガもフルケアも、どんな魔法でも負った傷は痕跡が残る。

大体クラウドの存在自体がおかしい。

超人的な戦闘能力を持っていながらあの柔肌。あの青年に成りきらない体型。あのガラス細工メンタル。

存在自体が矛盾の極み。

言えばキスティスが鬼になるから言わないけど、スキンケア会社の太客のキスティスよりもクラウドの方が滅茶苦茶美肌の柔肌の美人だ。

あんな魔法を一回も喰らった事のないような、一回も怪我したことがないような、一回も日焼けしたことがないような柔肌美肌のベテラン戦士なんか世界中探しても絶対にいない。

今はとにかくミッションに集中しなきゃならないけど、帰ったらセフィとミーティングしなきゃ!と、アーヴァインは考えていた。

良い人だけど存在自体が怪しすぎる!セフィロスさんもだけど、何よりもクラウドが変!と目を細めてクラウドを盗み見たら、その向こう側でキスティスが猫の目で睨んでいるところを見つけてしまった。


「クラウド、大丈夫移動するけど」

廊下に蹲っていたクラウドにキスティスが気遣い声をかけた。

「ああ、どうだった

「暖炉から下にハシゴが伸びてて、そこから降りたら地下トンネルの電源と通路があったの、そこの通路にいたゾンビはもう始末したから今からその先の部屋を探索する。歩ける

「ああ、もう大丈夫だ。…アーヴァイン

階段を降りた先からショットガンを撃つ音が聞こえ、クラウドがそちらの方向を指すとキスティスが頷いた。

角を曲がるとキロスを含めた皆がおり、セフィロスは腕を組んで俯いていた…まだカナリキツイようだ。

「結構いるみたいだよ~」セルフィがゾンビのモノマネをしながら言った。

『終わったよ~。臭いのいっぱいるけどカッモォ~ン!』扉の中からアーヴァインの声が聴こえた。


中は書庫になっていた。

壁四方全面と中に列背面合わせで本棚が設置してあり、ギッシリと本が詰め込まれている。

早速探索を開始する中、キスティスが言った。

「アーヴァイン、お願いがあるんだけどいいかしら

「何嫌な予感がするんだけど、とりあえずは聞く」

「あなたの言う通り臭すぎるわ。この散らばってる臭いの元、外に出して。邪魔で仕方ない」

「…………」

アーヴァインが嫌そうにキスティスを睨むとクラウドが言った。

「俺がやる。さっき休憩した分やるよ」

と、ゾンビのズボンや上着を引っ張り廊下に出し始めた。

「う~~~~、じゃあ僕も手伝うよ~う~う~」

アーヴァインもゾンビを運び始めたがクラウドが声をかけた。

「服だけを持てよ。肉を持つとズルッとくるからな」

「いやあ分かってるから!!言わないでぇ~

「お前…そんな図体して女の子みたいな言い方するなよ、キモイ」

「うぅっ…酷いぃ~」

言いながら人で仲良くゾンビを片付けた。

そんな時、奥側の書庫から「おぉ~」と、声が上がった。

どうやら書庫に飾ってある銅像を動かすと新しい小部屋が出現したらしい。

MOディスクだね」

小部屋は小机と椅子でいっぱいになるスペースしかなく、ディスクはその小机の引き出しに入っていた。

通路に出てもう一つの開く扉に入ると、そこには石造りの新たな通路が続いていた。

ただし今までのように部屋に続く扉が通路にいくつもあるパターンではなく、通路自体が蟻の巣のようにいくつもに分岐しており扉は一つも無かった。

そしてそれぞれの通路にゾンビやモンスターが数体いた。

丁度方に通路が別れている所に来るとキスティスが言った。


「各名パーティに分けて探索しましょう。分後にここに集合。セフィロスさんは私と、セルフィはアーヴァインと、キロスはクラウドに付いて」

クラウドが指示された方向に歩き始めるとキロスが付いて来た。

「昔、傭兵だった時代にこれによく似た現場に行ったことがあったよ。酷い目に合った」

「ふーん」

クラウドは突然襲って来た爪が長く動きの速いバーサク状態のモンスターを剣で片付けながら答えた。

そんなクラウドの臨機応変にビビリながらもキロスは続けた。

「本当は行かなくていい現場だったんだけど、道を間違えて入って行ってしまったんだ

そしたらそこは敵が力を入れて開発してた場所でね、こんなダンジョンの中を僕ら人、ラグナとウォードとボクは逃げ回ったよ

結局逃げきれなくなって崖から一か八かで飛び降りて逃げたけど、人とも重傷を負ってバラバラに流された」

「ホント、ロクでもない傭兵だったんだな」

「そうだね。自分でも思う

とてもあのスコールくんの父親のパーティとは思えない。全く役立たずの傭兵だった」

「…………スコールの父親って、エスタの大統領とかいう…元傭兵なのか」

何気ないクラウドの質問だったが、それにキロスは言葉を飲んだ。

スコールがラグナの落とし子で、エスタの大統領は長年ラグナで固定しており、ラグナが元ガルバディアの傭兵であったことは世界中の常識だと思っていたのだが…しかも、そんな常識をスコールの家に泊まるような傭兵仲間が知らないなんて…あるか

「元々は記者志望だったんだが食っていけなくて傭兵で稼ごうとしたんだが、絶望的に向いてなかったんだ

まあ、私たちはそこで知り合ったんだが

ラグナといるとマトモに現場に辿り着くことすら困難だ。道を間違えたり地図を間違えたり」

「そんな奴いるか

…………それも常識の範囲内だと思うんだけどね、ラグナが全然使えない傭兵だったのは。

これはどういう事だ

「いるんだ。驚くことに。彼のパーティにいるとミッションもまるで遠足になってしまう」

「そんな奴と同じパーティの連中は楽しいかもしれないが、その裏じゃ他の誰かがそのツケを払わされてる

ソイツラはアンタラを恨んでたんじゃないか

どこだって戦場じゃ陣形が組まれる、イキナリその中の一つに穴が開いたら現場の人間で埋めるしかない」

「そうだね。でも当時の僕らにはそんな事は想像もつかなかった。馬鹿だったんだなぁ

でも周囲が見えないっていうのはそれだけ純粋に楽しくもあったんだ。無知ゆえの無責任だったけどね……あ」

角を曲がった正面に扉があった。そしてその手前に火炎放射器がセットされていた。

クラウドはキロスに火炎放射器を渡し「アンタはここにいろ」と言い、中に入って扉を閉めた。

中からライフルとワルサーPPK連射の音が聞こえてきた。

程無く扉が開き「アンタの出番だ」とクラウドが言った。

キロスが入るとmサイズの毛の生えた蜘蛛が頭を刎ねられ、体から切り離された頭は撃ち抜かれており、その子蜘蛛80cm大が頭を撃ち抜かれており、それよりも小さいサイズは踏み潰されていた。

キロスは眩暈で倒れそうになったが、そうなる前にクラウドが(嫌なら見るな!)とばかりにキロスの視線の前に立ち指先で違う方向を指した。

「ソレでアレをやれ!」

指先の方向には行く先を封印するかのように天井から床まで張り巡らせた蜘蛛の巣があった。

幾重にも張られた巣は向こう側があまり見えなかったが、何かモンスターのいる気配はした。

「出てきたら俺が始末するから、とりあえずアンタは巣を焼け」

キロスは頷き上から火炎放射を当てて行き、焼いた巣の穴がmくらいになった時、向こう側から50cmくらいの蜘蛛がビャッ匹一気に飛んできた。

「ヒャ…」

キロスが息を吸うような悲鳴をあげきる前にクラウドがワルサー連射で匹一気にヘッドショットで始末した。

蜘蛛は飛び出たそのまま床に足を丸めて落ちた。

「ク、クラウドくん、凄いね…今の勢いで一気にヘッドショットなんて……」

「全然凄くない、匹ともこっちに飛びかかって来てるんだから当たり前に頭はこっちを向いてる。単純に撃っただけだ」

「そっか……」


今の勢いで匹に銃撃が間に合う事自体が既に凄い事だが、これ以上言うとクラウドが機嫌を悪くするので止めることにした。

クラウドは蜘蛛の巣の空いた上の部分から向こう側を見て

「一応いないみたいだ。分経つ。一回戻ろう」と、入ってきたドアを指した。


キロスと人で戻ると皆もそれぞれが姿を現した。

セフィロス、キスティスコンビは行った方向が直ぐに詰まり、戻って途中で分岐した本に行った。

幾つか通路を曲がったところの正面に巨大な丸い岩石があり、それに近づくと岩石が転がり始めたので手前の角に避難した。

「あれって昔のセントラ発掘場を思い出したわ。同じ仕掛けだった

クランクを使って道を変える所も同じだった

セントラ発掘場の設計者も取り調べるべきね

あと岩石トラップを抜けた先の部屋にコレがあった」

キスティスは新たなMOディスクを出した。

「僕らのとこには武器庫があったよ~。弾めっちゃ補充したそれと傷薬とかも置いてあった」アーヴァインとセルフィが言った。

「こっちはまだ途中だ。火炎放射器を手に入れたくらいか」とキロスを指した。

「なら進む先は決まりね」


全員で巨大蜘蛛の部屋に戻り、残していた巣を全部焼き切ると、その先に部屋があった。

その部屋に進むとモンスターはいなかったが、石像が体と開かない小さな扉がつだけあった。

部屋の床はタイル張りだったが、その中の2枚分だけが他の床タイルとは微妙に色の違うものがあったので、そこに石像を移動させた。

すると開かなかった小さな扉がカチリ…と音を立て自動で開いた、中は小さな資料置き場になっていた。

手分けして探索したところ、引き出しの一番下にしまわれていた1冊の本の中がくり抜かれており大きなメダルが入っていた。

「…コレってアンタらが手に入れたメダルと対になってないか

「どれどれ?…あ、……ホンマや」

セルフィたちが鉄大樹の部屋で見つけたメダルとクラウドが見つけたメダル、それぞれ並べてみれば確かに同じサイズと材質。

鉄大樹の部屋にあったものは男性の横顔、本の中に隠されていた方が女性の横顔の図柄になっていた。

「……これはまたどっかに使うんやろなぁ……でもってまたショーモナイ仕掛けがあるんや……絶対…」

セルフィがウンザリしたようにため息交じりに呟くと、セフィロスが資料の山を調べながら答えた。

「中庭の井戸の両端に同じ柄の窪みがあった。そこにセットできそうだ」


空気に擬音がつくのなら「パキーン…」と音でもしそうに、その場にいた全員の動きが瞬間冷凍されたように止まった。

……………中庭に入った時、セフィロスはグルッと一周しただけで誰よりも早く小屋の中へ入って行った。

クラウドに"イイモン見つけたー"とザッシュソードを渡していた。

なのに「中庭の端」にあって「通り過ぎた」だけの「井戸の窪み」の「柄」まで正確に覚えてる!?

……クラウドの身体能力といいセフィロスの頭脳といい、もはや全員が断言してしまうほど確信していた。

”絶対にこの人達、根本的に違う!根っこから何か違う!”


「……戻りましょうか中庭

皆で中庭に戻り、少し大きめの井戸を確認したところ、セフィロスの言った通り左右にそれぞれ出っ張った部分があり、そこにメダル模様の窪みがあったので、それぞれの図柄に合わせて嵌めた。

するとプールの中に満たされていた黒い水が抜けたのだが、黒い水は表面だけで水深は30cmほどしかなかった。

底がつに割れて見えたのは下に向かう回廊階段だった。

そこを降りて行くと一旦踊り場に出るが、そこには下に向かうエレベーターと思われるドアがあったが電源が入っておらず動かなかった。

だがその横に下に伸びていたハシゴがあったため、それを使う事にした。

下まで降りきるとコンクリートで囲まれた通路に出た。

通路を進んで行くと再び人間型ゾンビが数体現れ始めたのでクラウドが言った。

「一巡したよな。俺、一回りしてくる」


数分後、戻ったクラウドによって下へ向かう階段があったこと。

下の階の最初の部屋にコンピューターがあったから、アレにパスワードとかMOディスクが役に立つんじゃないかという事で、全員で降りて行くことにした。

途中クラウドによって倒された何体ものモンスター・ゾンビをよけながら部屋に入り、キスティスがコンピューターを起動する間、他のメンバーは探索を開始した。

枚目のMOディスクを入れるとID、パスワード入力画面が出た。

ID...えーと、ファイル...何ページ目だったかしら...」と、持ってきたファイルを捲ろうとしたキスティスに

「Jvhuoghnだ。ID」近くの本棚を探っていたセフィロスが答えた。

「あ、ありがとう。え、と…J.v.h.u.o.g.h.nと、パスワードは…」

「エイダ。A・D・Aだ。次のパスはM1O6LE583」

…………………キスティスは密かにため息を吐いた。

確かに今はもう時間がない。セフィロスさん達は平気なようだけど私たちの体力がもう限界を超えてる。かなりキツイ。

だから急いでくれているのも分かる。本当に助かる。

そもそもセフィロスさんとクラウドがいなければ私たちは中庭に出る事すらできずに死ぬかゾンビになっていた。

それは間違いない。

でも正直、もうごまかしきれない……だって天然クラウドはともかく、セフィロスさんはもう…何か振り切っちゃってる。

なんだかもう、身バレ上等って感じ。

こんなの勘のいいセルフィたちが気付いてないわけがない。

ねえスコール、私どうしたらいい?…確かに私たちは生きて帰るわ、絶対に!こんなところでなんか死にたくない!でもその後はどうしたらいい?彼らの特異性についてセルフィは絶対に黙ってない。

もし彼らが別次元の人だってバレたらサイファー達の脱獄に繋がってしまうのも時間の問題よ。マズイわよ、どうしたらいいの?ねえ、スコール、私はどう対処したらいいの?

キスティスは心の中で問い掛けていた。


「M.1.O.6.L.E.5.8.3と……やった!」

画面に地下階層の地図が映し出されパスワード打ち込みで解除された扉の場所が点滅した。

「みんな!BとBのシークレットルームに入れるようになったわよ行きましょう

今回も手分けするわよ

私、クラウド、キロスがBチーム、セフィロスさん、セルフィ、アーヴァインチームがB散開

それぞれが探索に向かい、キスティスチームは部屋を出てフロア上に行った。

階段からつ目のドアのロックが外れていた。


「ここね、Bシークレットルームって」

部屋に入り探索を始めた。結果、研究所・警備システムの実験履歴と通信履歴が見つかり、壁にあるパネルを動かすと外れ、その中にあったスイッチを押すと、コンクリートの壁柱が動きその動いた隙間から研究所の鍵が見つかった。

「この研究所の実験・通信・警備履歴は私が預かります。全部エスタに持って帰ります

資料を見ていたキロスの表情は怒りに燃えていた。

「頑張れよ、オッサン」

クラウドはこれからキロスがやっていくことの大変さを思い、応援せずにはいられなかった。

そんなクラウドにキロスは「君は優しいなぁ」と、思わず言葉にしてしまった。

ムッとしてそっぽを向いたクラウドに、もう今度こそ本気で笑ってしまった。

もう本当に可愛い!ベテランの傭兵のくせに、少年のように繊細でしかも優しい。

一体どんな環境で育成されればこんな不条理な傭兵が出来上がるのやら!

可愛くて可愛くてイイコイイコ!と頭を撫で撫でしてあげたくてウズウズしてしまったが、笑ってしまった事でまた本人がイライライリイリと怒っているので、ウッカリ戦闘能力を自分に発揮される前に自戒することにした。


地下階に戻ると、それまで開かなかった部屋が『研究所の鍵』で開いた。

そこにセフィロスチームが出てきた。

「あ、開いたこっちも探索終わったよ。もう枚のMOディスクを使って電力室で全館電力供給にした。

電力室の奥にエレベーターがあって、それは井戸の踊り場に出るやつだった

OKじゃあ研究所に入りましょう」

中に入って直ぐは暫く本道が続いたが、前方に金網で区切られたスペースが現れた。

金網横の壁にある電源スイッチを入れると金網が開き、新たなエレベーターがあった。

そのエレベーターで下の階に降り、歩き始めたところ「ストップ」セフィロスが制止した。

キスティスが何か言いかけたところクラウドが口に人差し指を当てた。


「順番から行くと私だ。行って来る」

セフィロスが速足で向かって行った。

その後をクラウドたちがユックリと歩いて行った。

扉が開き、閉まる音がした。

中から物凄い雄たけび、金属が削られる音、ガラスが踏みつけられる音、マグナム連射の音が混ざり合っている。

最後の一際大きな雄たけびの後、静まった。

扉の前で待っていると、まだ貧血状態から立ち直れていないセフィロスが疲労の色濃く出てきた。

「残念だったな、アーヴァイン」

「はい

部屋に入ると先ず、壁の2面を埋め尽くすモニター…30面ほどの画面が管内の何か所かを切り替えられながら映し出されているのが目に入った。

だがその一部のモニターは割れていたり罅が入っていたりで死んでおり、更に大部分の画面は飛び散った体液、血液、脂肪、内臓等で汚れており、更に床には割れたガラスの破片と、STARSの制服を着た無惨な遺体と、頭や身体何か所も吹き飛ばされた巨大なモンスターの躯が転がっていた。

モンスターは3mくらいの大きさで、死人の白い肌が更に白蝋化しており、その上を赤・黒・土色の血管が幾筋も走り左手は巨大で鋭い爪が本生えてその爪は血に染まっていた。

部屋中に飛び散っている色々なものの大部分はこのモンスターがマグナム弾を何発も受けた結果によるもののようだった。

先に死に床に倒れていたと思われるSTARSの制服を着た死体などは、セフィロスとの闘いで暴れたモンスターに何度も踏みつけられたらしくグチャグチャに折れ曲がっていた。

つまり、部屋や遺体をこれほど破壊するほどセフィロスは苦戦したという事だ。

無理はないだろう、貧血が酷くてまだ刀を振り回す力を出せず、銃のみで巨大モンスターに応戦したのだから。


「……ウェスカー」

致命傷が何だったのか分からないほどグチャグチャになってはいたが、かろうじてその顔は判別できた。

身体はまだ温かかったので、セフィロスが入室する直前にモンスターに襲われたようだった。

部屋の前でセフィロスとクラウドが聞きつけた音はウェスカーがモンスターに襲撃された時の音だったらしい。

「………こんなオチってアリ

アーヴァインが呆然としながら呟くと、セルフィが「良くある事ここまで来た時点でアービンの勝ち」と背中を叩き慰めた。

それでもアーヴァインは呆然としていた。

ウェスカーは新人STARSチームを足止め、あるいは殺すためのモンスター解放をしようとして失敗したのだろう。

まさかの、己の策に溺れて自滅……。


キロスの携帯が鳴った。

「あ、また繋がってる。ちょっと失礼。」

皆が各々の携帯を確認したところ電波が復活していた。

「はい」

(ご無事ですかシーゲル事局長

「あぁどうも。もう違うけどね」

(そちらはいかがですか!?事局長の安全は確保されていますか!?

「大丈夫です。優秀なSTARSの人達が守ってくれています

それから僕はもう事局長じゃないよ。君、ちょっと情報古いよ

それとこちらはSTARSの裏切り者が死んでました

なんか自分達で開発したモンスターにやられちゃってましたよ

名前はアルバート・ウェスカー。ブラヴォチームのリーダー

で、ラクーン側の裏切り者はさっきも言いましたが市長兼所長と他十数名の住人です

ラクーンの住民は生存者ゼロのようです

エスタ側は何か分かりましたか

(はい公安課のトップのジョーンズが糸を引いてました

既に身柄は確保しています。ラクーンにおかしな兆候が見え始めたのが年くらい前からで、ジョーンズは10年前からの着任で、ラクーンの兆候全てを握りつぶしていました

「そう。じゃあ残ってるのはアンブレラとラクーン市・所長だけだね」

(そうですね。それとそちらの準備が整い次第そこの建物は爆破してください。その建物には起爆装置がセットされていますから。ラグナ大統領の許可も出ています。今から場所を言いますので…)

「えちょっと待って、ラグナいるの

(はい。ようやく戻って来てくれましたインフルエンザだったそうです。別人のように痩せて声もガラガラ…というかカラカラですよ声になってないんですからもう!世界がひっくり返る大事件の連続だっていうのに大統領の自覚が無さすぎですよ今更ですけど!」

世界がひっくり返る大事件の中の1つ『伝説のSeed スコール・レオンハート』の死でラグナは崩壊してた………。でもどうしてあの状態から生還できたんだろう…本当にもう駄目だと思ったんだけど…。

キロスは密かに困惑していた。

「それでSTARSのメンバーが脱出したのを確認したら、今度はこちらから街に避難放送をかけてカウントダウン10分で街ごと焼き払うミサイルを落すそうです。ラグナ大統領がキロス事務局長によろしくって仰ってました。報告したい事もあるそうです)

「あ…そぅ…」

(それとシーゲル事局長、辞表は無効ですって。ラグナ大統領からの伝言です

事局長こそちょっと情報古いですよ

「えぇー!?

(とにかく後は市・所長の捜査、見つからなくても構いません。既に入口は固めていますし、指名手配にもしますから。それで起爆装置の場所ですが、研究施設地下階所長室です)

「えー、すぐ傍だよ」

(起爆はタイマーになってます。10分時限です。作動してから直ぐに外に出てできるだけ離れてください

かなりの威力のあるものらしいです

街を覆うミラーはその後の殲滅焼き討ちの為に残しておきますので、出るのは例の出入り口でお願いします

ではSTARSの皆さんによろしくお伝えください

「…はい」

キロスがガックリと肩を落とし携帯を切ると、キスティスは話しかけた。

「どうしたの

「………ささやかな人生設計が狂いました……。それとエスタ側の犯人、公安課のトップのジョーンズが捕まりました

それとこの研究所は爆破するように言われました。起爆装置は所長室。タイマーで10分。

その間に脱出するようにとのことです。我々がラクーンを出たのを確認してから街に放送をかけて10分でミサイルを落とすそうです」

「まだ所長が見つかってないけど」

できれば捕まえてほしいけど捕まえなくても入口は固めてあるので構わないそうです。ラクーンごと殲滅焼き討ちにするから」

「…キレてるね」

セルフィが言うとキロスは頷いた。

「当然です。エスタとしてもこれは大事件になりますし、特に警察庁は無事では済まない。同じ警察庁所属の公安に裏切られていて気が付いていなくて、警察のエリート部隊SAT500名近くの犠牲を出したわけですから

多分これから相当叩かれるでしょうから、少しでも被害を軽くするために徹底的にやるでしょう......

「キスティス、私らどうする

セルフィが聞いた。

「それは…できれば所長を捕まえたいわ。いないのといるのじゃミッショングレードが全然違うもの

…ね、いるとしたらどこにいると思う

「う~ん。そもそも所長は戦闘能力が無いわけだからゾンビがいる場所にはおられんやろ

てことは安全が保障されている場所……個室から出ない

通路にはゾンビやモンスターが溢れとるんやから

個室で今まで探索してないところっていうとー

セルフィの推察にアーヴァインが応えた。

「いやー、この館って宿舎でもあるし隠し部屋も満載でしょ

見過ごした部屋はたくさんあるよー」

「それならそれで仕方ない、深追いしてる余裕なんてないわ

とにかく、これから私たちは所長室に行き起爆装置を起動させる。そして全員出口に向かう

その途中で所長が見つからなければ帰ってからラクーン外の可能性を検討する

それとウィルスについては、さっきのファイルに『サンプルをつ回収して残りは破棄』と記載されてたことと、ここにいたモンスターの種類からいって相当な数のサンプルは既に流出していると考えられる

ただ、最新のものは出てない、と私は思う

なぜなら違法のレベル4の開発したばかりのウィルスはそう簡単には取り扱えない

それにレベル4を保管できる施設も限られてくる。

しかもその施設は十中八九アンブレラ系列。極秘サンプルだもの、他には預けられない

だから今回のアンブレラ一斉捜査で徹底的に叩けば今までの仕様書もウィルスも奪還できるでしょう

それと今話してて思ったんだけど、もしかしてセフィロスさんが始末してくれたこのモンスター。コレを解放したの…もしかしてウェスカーじゃなくて所長じゃない?

自分が逃げるための時間稼ぎに共犯者のウェスカーの隙をついてモンスターを解放した

今まで徹底して用意周到だったウェスカーが、こんなミスをするとは思えないの

だから死人に口なし、ウェスカーは始末できるし罪も被せられる」

モンスターが漬けられていたと思われるガラスポットの横に設置されている、パスコードを入力して開くタイプの冷凍庫を調べていたクラウドが言った。

「…この扉、最初から開いてたよな」

キスティスが頷き、そしてある事に気がつきつぶやいた。

「パスワードで開く冷凍庫..................

「最終ウィルス持って逃げたくさい?

セルフィも眉を顰め言った。

「……持って逃げたのが所長だとしても、そう遠くへは行っていない。多分まだ管内にいる」

クラウドが言った。

「なんでわかるん

「開きっぱなしの冷凍庫の中にモンスターがポットから出た時の液の飛沫がかかってない。

逆にこの扉の外側には飛沫がかかっている。という事は、モンスターがポットから出た時はこの扉は閉まってたって事になる。

てことは、ウェスカーが襲われてる間にパスワードを入力し扉を開けウィルスを持ち出し、逃げた

…近くにいるぞ、そいつは」

「いよいよ射程距離に入ったわね

ラクーンはついさっきまで妨害電波が出ていたのだから署長も外との通信は取れていないはずだから、エスタの公安が捕らえられこの町の入り口も固められたのは知らないはず

今度こそ私たちの有利になってきたわ…」

「そうとも限らぬ」

研究所の中を捜査していたセフィロスの声が突然入った。

「え

「こんなモンスターだのゾンビだのを溢れさせた状態で戦闘能力の無い者が本気で外部との連絡を完全遮断するわけがないだろう

今までのトラップにしても、そんな単純なものではなかった

STARSを実験体にするにしても、万が一ここまで辿り着いた時用のモンスターまで用意してあった。

それも突破された場合は逃亡しかなくなる。その際はどうする

街の出入り口はつ。そこまでこのゾンビだらけの中を戦闘能力のない者が自力で辿り着けるか

俺だったら、我々が撃ち落されたあの野原にヘリをつけさせる

ヘリから援護してもらいながら上空へ脱出する

だが通信が完全遮断されていてはSOSが送れない

何故先ほどキロスの電話が一度つながった

それは妨害電波が解除されたからだ

誰が、何のために解除した

もしその時にヘリが呼べない、相手と連絡が付かない

仲間が拘束されたと分かったら、戦闘能力のない者はどう行動する」

「…………セフィロスさんはどう行動してると思いますか

「持ち出したウィルスを自分に打つ」

「え!?そんな事をしたら...

「ならば他にどうやってここから脱出するというのだ」

「少なくとも恐怖はかっ飛ばせるよね、先は無いけど」

「先が無いのは今この町でゾンビになっている連中だけだ

そもそもここまで大々的にウィルスをばら撒くのなら血清はできている。

でなければここまで大きな事件を起こしてまでエスタと取引するには材料として弱い

治せるからこそウィルスは取引材料として価値が出るのだ

第一キロスも血清があったからこそ復活している

所長がモンスター化しても一定時間で血清を接種できる様にしておけば何も問題は無い」

「モンスター化して検問突破ということ

「他に出入り口が無いならそれしかあるまい」

「そらあかん検問がヤバイ行こ

研究所から続いていた隣室に入っていたクラウドが応えるように言った。

「ここが所長室だ。起爆装置も見つけた。作動させるぞ

全員が頷くとクラウドが奥に引っ込み、同時に館内に放送がかかり始めた。


"緊急事態発生。至急この館から避難してください。あと10分で当館は爆発します。館外へ至急避難してください"


キロスが電話を掛けた。

「あ、私。今研究所の自爆装置を入れました。10分で爆発します

それとラクーン市・所長がバイオウィルスを自らに打ってモンスター化し、ラクーン入口検問を突破に向かう可能性が高いです。厳重警戒お願いします

私とSTARS名、今からそちらに向かいます



迷い子9    NOVEL    迷い子11

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